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【KAKERUインタビュー No.13】
久々に男子登場のKAKERUインタビュー。今回ご紹介するこの方、れっきとした会社の社長さん。団遊って名はペンネーム?と思いきや、まったくの本名!5年前、弱冠28歳でアソブロックという会社を立ち上げ、遊(アソブ)という名前通り「おもしろくないものを、おもしろくする」という会社理念のもと、さまざまな遊び心で新しいプロジェクトに取り組まれています。特に、幼稚園・保育園を支援するサービスはマザールにとっても興味深い活動。「より地域に愛される居心地のいい幼稚園」づくりのために、園の内外で子どもが触れる目にするモノにデザイン面からアプローチしているそうです。CI制作、建築、植栽、通園バス・体操服、園歌、DVD制作など、活動範囲は多岐にわたります。お話上手で、聞く人を飽きさせない。噺家みたいに魅力的な団さんにインタビューしました。
団遊【Asobu Dan】 アソブロック株式会社 代表取締役

http://www.asoblock.net/
プロデューサー。大学卒業後、執筆屋・編集屋として主に雑誌づくりに励む。同時に新聞(サンケイほか)や情報誌などにエッセイ・コラムを乱筆。マニアな人気を博す。'03年にアソブロック株式会社を設立。'04年にはデザイナーのセキユリヲ氏らと有限会社eaを設立、代表取締役に。現在、メディア・プロデューサーとして活動中。自社出版レーベル【ホンブロック】発行人。ものづくりの基礎を学ぶ【おもちゃ大学】学長。対人援助サービスの担い手が育ち合う【リーダーズワークショップ】主宰。

 
ものすごくお若くして起業されましたよね。迷いとかありませんでした?何がキッカケとなったんでしょう。
 
起業する時は『最終便』(これを逃したら、もう後がない)という感じで、迷いとかは全然。もともとは雑誌編集の仕事をしていました。でも商業ベースでちょっと辛いなぁ、と思うことが多くて。編集という仕事自体、人と人をつなげたり、紙以外の表現でもできる。自分のもっている編集という力を他の媒体も使ってやってみようなかな、と。アソブロックをつくる前、「出版界のシネカノンになろう!」と「きんとうん出版」という出版事業をクエストルームという会社で立ち上げました。それが成功したので、じゃあ次の新事業を考えたとき、幼稚園へ向けたものづくりはどうだろうと。幼稚園・保育園向けのグッズを製造販売する会社で約半年、営業まわりに連れて行ってもらって、ここにいる人たちは何が課題なのか?何が求められていることか?をじっくり検討しました。
 
幼稚園・保育園向けのグッズって、どれもカタログ販売で似たりよったりという気がします。新しいことを始めるにはとてもわかりやすいかも。
 

半年営業について回り、この業界は本当に昔ながらだと痛感しました。それこそ園児のカバンや体操服のほかに、幼稚園の先生対象に、毛皮のコートを売ったりする会社もある(笑)……。もっと、その幼稚園に通いたくなる、先生にも保護者にも園児にも喜ばれるようなアイテムを考えたかった。

 
おもしろい視点ですし、行動力もありますね。具体的に、今はどんなビジネスに結びついています?
 

園案内、園児のユニフォーム、建築デザイン、行事のDVD、アルバム製作など多岐にわたります。神奈川県を中心に、パートナーの会社と共にお手伝いする園が200園以上あります。幼稚園という場所は、地域に根付いた教育の場。だから、目で見えるイメージチェンジも大切ですが、職員の質を高めること。つまり採用や職員のスキルアップをフォローすることも大事なんです。

 
うちは6年間公立保育園で育ちましたが、公立だといい先生との出会いは「運」でしかない。私立は理念がしっかりしていると、それに賛同する保育士さんも集まるのでしょうね。
 

幼稚園は、園長先生の存在が大きい。もし、幼稚園にこだわって入れたいなら絶対会っておいてほしい。子育ての想いが、近い人かどうかを見極めておいたほうがいい。その際、僕は3つのポイントを押さえてほしいと思っています。ひとつは、園の(園長の)保育観を聞くこと。ふたつめは、毎年何かしら新しいことに取り組んでいるか。ここで特に無い、という園は残念ながらお勧めできません。なぜならルーティーンな作業や行事しかこなしていないとしたら、職員のモチベーションも低いからです。みっつめには、大きな声で挨拶をしているか。子どもにだけ「挨拶をしなさい!」というのは、間違っていますから。

 
なるほどね。私立だとハッキリしたカラーを打ち出せておもしろいですね。アソブロックが関わることで、幼稚園はどんな志向にスイッチされるのでしょうか。
 

僕らは、子どもたちに本物を与えたいと思っています。大人も使いたくなるものを子どもたちに与えたい。例えば、プラスチックのコップを陶器に変えること。プラスチックは落としても割れないから、使う際に気を使わないですよね。でも、あえて割れる重みを感じさせて、身に着けるべき気遣いもあるんじゃないかと。また、トイレも洋式でするのが主流ですし、デザイン的にも洋式で統一したほうがカッコいいんですが、和式のトイレが使えない子どもが増えているからこそ、2つくらいは和式トイレを残してトレーニングしたほうがいいと考えています。和式だと用を足す時に、汚さないように気をつけたりしますよね。それって大事なことだと伝えたいので。

 
便利な時代だからこそ、気遣いは大切ですね。でも、子どもたちにそれを教えたり、伝える保育士さんも大変になるかも。色々な面をアソブロックがサポートすることで現場からの反応は、いかがですか?
 

直接職員さんと接する機会は多くないので、あまりどうとは言いにくいですが、年に一回の園児募集で入園希望者が多く集まると、「子どもたちのためにもっとがんばろう」という気持ちが湧くようです。毎年、園への応募人数が職員さんへの通信簿みたいなものですから。そういう環境が作れて、初めて現場の職員の皆さんも、僕がやっている「園が理想とする教育理念の実践に向けたサポート活動」を認めてくれるのではないかと思います。その意味でも、10月、11月に集中している願書受付解禁の日は、僕としては気になって仕方ありません。

 
公立保育園は、私の住む横浜市では入園のために壮絶な闘いがある。少子化というくせに、受け皿が歪(いびつ)なんです。私立幼稚園は、理念も、保育制度も、入園基準も明確だから今後ますます人気度が高まるのでしょうね。ところで、団さんはご自分のお子さんは、どんなふうに育てたい?
 

産まれてみないと、なかなかイメージしにくいですね。そうだなあ、勝手に育ってほしいなあ。でも、親から自分がしてもらってよかったと思えることは、自分の子にも実践したい。例えば僕は小学校4年生のときに、2年生の弟と二人で「旅に行ってこい」と、4泊5日の能登半島の旅に放り出されたのですが、そういうこととかね。幼稚園も大きくわけると「遊び込む幼稚園」と「行事を大切にする幼稚園」と2つのタイプがあるんですが、どちらに行かせたいかは、乳児期を見て判断だと思っています。

 
小学4年生の兄貴が、2つ年下の弟を連れて旅ですか!家族の信頼度が高かったんじゃないかなぁ。お父上である、団士郎先生のワークショップに、先日私も参加させていただきました。とてもおもしろい。これ、もっと広めたいですね。
 

僕がいま力を入れていることのひとつに、「リーダーズワークショップ」があります。これは自分の父親でもある団士郎が講師となり、偶数月の第二土曜日に、東京国際フォーラムで開催する6時間のトレーニングなんですが、幼稚園や保育園の先生、児童養護施設の先生、小学校の先生、カウンセラーの方、中には主婦の方も来られて、みんなで楽しくコミュニケーションスキルを上げるプログラムをしています。参加者の方も、例えば幼稚園の先生が、家庭訪問への取り組みがうまくなったり、カウンセリング技術があがったり、主婦の方も家庭内でのコミュニケーションが活発化したり、と目に見えた効果が出ているようです。最後は「人磨きこそ」だと思って始めたプログラムですので、興味がある方はぜひ詳細をお問い合わせください。 info@asoblock.net

 
ありがとうございました。きっと色々大変なこともあるのでしょうが、ちっとも辛そうな言葉も表情もしない陽気な団さん。そのポジティブさが、幼稚園・保育園の先生方にも広く受け入れられているのでしょう。団さんの会社は、事業部が5つもあります。2月25日(日)にはアソブロック株式会社の採用博覧会(無料)が都内某幼稚園で行われるそうです。詳細はお問い合わせを!なんでもワクワクしたプロジェクトにしちゃうところ、私も見習いたいなぁ。
 

 

家族の練習問題
―木陰の物語―
1,301円(税込)

 
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