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【KAKERUインタビュー No.60】

都内在住のマザールメンバーさんより「青葉区においしいパン屋さんを開店した友人がいる」との情報をいただきました。さっそくHPを拝見したところ、会いたい!食べたい!つながりたい!という欲求が湧き起こりました。そのおいしそうなパンの数々。そして書いてある内容にとっても心躍りました。そうそう、こういう感動が大切なんですよね。
今回ご紹介するお店「たねまき」さんは、『オーガニック&ナチュラルフード』のお店。心と体と地球にやさしい手作り雑穀パンとナチュラルスイーツを販売されています。卵や乳製品を使わず、国産小麦と体にやさしい甘味料を使った手作り。火曜と金曜の週二回お店で営業され、ネット通販も展開。2日間は仕込み・製造に時間を費やし、取材当日も2日間徹夜状態。昨年の12月6日にオープンしたばかりで、クチコミでどんどん広まり200個の雑穀パンが3時間ほどで完売。5歳のお子さんを子育て中なうえ、パン作りに励む「たねまき」店主・竹川真紀子さんをご紹介します。

竹川真紀子【Makiko Takekawa】

雑穀パンとおやつの店「たねまき」店主
【WEBショップ】http://tanemaki.shop-pro.jp/
【たねまきHP】http://www.ab.auone-net.jp/~tanemaki/
【オーナーBlog】http://blogs.dion.ne.jp/tanemaki/

1974年東京生まれ。4歳から神奈川県で育つ。セレクトショップのバイヤー・アシスタントとして働いた後、1999年結婚。職業訓練校(製菓部)へ通ったり、フランス人パティシエのもとで修行。好きな道を究めるうち、天然酵母で作るパン作りに開眼する。2004年長女出産。2007年店舗付き住宅を建て、2008年12月植物性原材料だけで製造したパンとおやつ、自然食品の店内販売の店「たねまき」を開店。
家族は、アパレル会社勤務の夫、幼稚園年中組の長女。
 
マザールの事務所がある青葉区内に、こんな素敵なパン屋さんができたことがとってもうれしいです。しかも、手作り雑穀パンということで。マザールで販売する「あべんとう」の製造元「うおたま&くうかい」さんが作られるのも雑穀ご飯です。そもそも、雑穀パンのお店を始めようと思われたきっかけは?
 
小さな頃からお菓子作りが大好きで、いつの日か自宅でお店を持ちたい!というのが夢のまた夢でした。会社に勤務していた頃も、時間を見つけてお菓子やパン教室へ通ったり、会社へ持っていったりして。
結婚を機に思い切って退職し、今までやりたかった製菓の道へ歩きだしたのが、ちょうど10年ほど前。製菓の専門学校へ通って本格的に学べるチャンスがあり、その後も様々な教室や学校で製菓・製パンや料理の勉強を続けながら、出産するまでは近所のカフェやパン屋さんへ原料にこだわったお菓子を置いて頂いたり、知人に頼まれてセット菓子を作ったりしていました。

「食の安全」には早くから関心があって、ずっとオーガニックにこだわって製造していたのですが、妊娠・出産を経験してからは特に、大量の白砂糖や卵やバター、添加物などを使うことに、疑問が多くなってきて。
実は、パン作りは時間もかかるし、酵母につきあわなければならないので、せっかちな私には向かないと思って遠ざかっていたんです。でも出産を機に、日々食べるパンもカラダにいい物を自分で作りたい!という思いから、 子どもが1歳になる前に夫の協力を得て教室へ通い、野生酵母「白神こだま酵母」パンの師範科と研究科を修了することが出来ました。
パンの酵母って、いい環境を作って、適切な時だけ手をかけてあげれば、自然に育つものなんです。それは子育てともちょっと似ています。育児をしながらだからこそ、酵母にも子どもにも向き合うことができたと思います。
パン作りと子育てが似ているって、ちょっとした発見ですよね。雑穀については、「うおたま&くうかい」さんもとてもこだわりをお持ちですが、竹川さんもそうですよね。
 


うちの子は幸いアレルギーなどは無いのですが、この時代子どもにも大人にも色々なアレルギーや現代病が増えています。一説では戦後に激変した日本の食生活の変化が原因だといわれています。 パンの安全はもとより、ご飯粒の大事さを見直そうと思い、2006年に「穀物菜食」や「雑穀」の勉強を始めましたが、特に、雑穀の美味しさと面白さには魅了されました。

そもそも農薬を使う必要がない強い穀物で、タンパク質やミネラル、繊維がとても豊富なパーフェクト穀物です。ご飯に入れて炊くだけでなく、種類が沢山あって、それぞれに色々なおいしい食べ方や料理方法があります。

食の欧米化で動物性たんぱく質が過多、野菜不足になっている現代人にとって、もっともっと雑穀を使った引き算の食事を取り入れたいと思いました。 現在も(うおたま&くうかいさんと同じ)大谷ゆみ子さんの主宰する研究科で雑穀料理の勉強を続けています。

お店は当初「オーガニックカフェ」の予定でしたが、私が今まで経験してきたパンやお菓子作りの技術と、体にも地球環境にもよい「雑穀&菜食」の知識をいかして、子どもたちの未来がもっともっと元気になるようなお店にしたい、雑穀の美味しさと元気をもっと紹介したい!そう思い直し、事業計画書を書いてから準備に3年もかかってしまいましたが、昨年末やっと念願の「たねまき」を開くことが出来ました。

 
まだお子さんも幼稚園の年中さんということで小さいけれど、パン作りが終わっても家事は待ち受けていらっしゃるでしょう?家事、育児をどなたかサポートしてくださる方がいらっしゃる?
 

実際、小さな子どもを抱えて、お店ができるのかという不安はありました。提案する雑穀パンの仕込みにはとても手間が掛かりますが、それ以上に家事・育児との両立は大変です。

うちの子は幼稚園なので、他のお母さんのように園のお手伝いもなかなか出来なくて申し訳なく思ったり、娘にもしてやれていないことが沢山あります。ただ、仕事場が自宅の1Fなので、私の働く姿を見ながら何か成長をしてくれればいいなと願っています。

夫は帰宅が遅いのですが、とても協力的で子どもの面倒はとてもよく見てくれます。お店を開店してからは、休みの日は掃除機をかけたり洗濯物をたたんだり、苦手なお料理にも挑戦し、家事に協力してくれています。

実家の母も、車で5分ほどの距離に住んでいるので心強く、ちょくちょく娘を気にかけてくれて、朝の開店準備なども手伝いにきてくれています。 家事との両立は今後も課題ですが、私一人ではなく、家族や周囲のサポートがあって「たねまき」が成り立っていると思って、普段はなかなか言えないけれど、感謝しています。

 
そうですよね、仕事に没頭できるのって家族の協力あってこそです。仕事場が自宅兼であることが何よりもよいスタートでしたね!試食をさせていただきましたが、もっちりしっとりして、ほんのり甘くて何ともいえない味わいでした。「雑穀おにぎりパン」と呼んでいる理由がわかります。腹持ちもいいし、体によさそう。パンの種類も豊富ですが、すべてオリジナルで開発されていらっしゃるんでしょうか?書いてあるパンの特徴も、すごく心がこもっていて読んでるだけでおいしそう!
 

パンは、すべて研究を重ねたオリジナルです。「たねまき」ぱんのコンセプトは、いろいろな種類の雑穀の美味しさをお伝えするということですので、それぞれの雑穀の特色を生かし、できるだけ余分なものを加えずにシンプルにパン作りをしています。こんなパンがあったらいいのに・・・という私の理想をとじ込めた、パン達なんです。
配布しているパンや雑穀の説明も、難しいことは置いておいて、できるだけシンプルにわかりやすく書くことを心がけています。

今はどんな食べ物にもお砂糖が大量に使われていますが、お砂糖を沢山とり過ぎると、カルシウムなどのミネラルが欠乏し精神的にネガティブになったり、体を冷やしてカラダに負担がかかってしまうんですね。 特に子どもや、女性の生殖器には影響が大きくて、現代日本人の約8割が、腎臓にとても負担のかかる「低血糖症」という病だという説もあるほど。

そこで、「たねまき」のぱんとおやつは、雑穀が沢山入っているのはもちろん、ミネラル豊富な手作り甘酒をたっぷり入れてノンシュガーで作っています。油脂も加えず、その他の原料も、出来る限り厳選した材料を使っています。 こんなに手間をかけてこだわったパン達は、他では手に入らない、と言ってくださるお客様もいらっしゃるほどなんですよ(笑)。

 
通販も人気のようですが、メニューA、メニューB、お楽しみ……など、それぞれの商品特徴を教えてください。お値段もセットで購入とはいえ、破格ではありませんか?利益が出ているのか心配になっちゃう(笑)。。。
 

パンのお値段は、お客様によって捉え方が違うようです。やはり、普通のパン屋さんよりはだいぶ原価がかかってしまいますので、決して安いとはいえないと思いますが、 それでも多くの方に召し上がっていただきたいと思い、出来る限りがんばって、手に取りやすい金額に設定しています。

メニューをAとBにわけているのは、一人で仕入れから製造販売までこなしておりますので、一度に仕込みできる種類が限られるためなんです。 種類も決して多いとはいえませんが、一つ一つに作り手として愛着がありますし、繰り返し召し上がっても、シンプルで飽きのこないものを考えました。

AもBも、6種類のパンと、3種類のおやつがありまして、お食事系のソフトフランスやプチパン、そば粉(粒)やドライフルーツが入ったパン、甘いキャロブのパン、マフィンとスコーンなどを、毎回、取り揃えています。
お楽しみセットは、お味見しながら楽しく召し上がっていただければと思い、それぞれ1種類づつ、計9種類のぱんとおやつが入っています。
お食事セットは、甘いパンとおやつ以外の、お食事用に召し上がっていただけるパン達です。 おやつセットは、一番人気のキャロブぱんをはじめ、マフィンやスコーンやクッキーなどほんのり甘いおやつの入ったセットです。

通信販売は私もよく利用するのですが、やはり送料がもったいないと感じてしまいます。 そこで、お客様のお好みに合わせて、同じ送料で、セットを組み合わせての購入もしていただけますよう工夫しました。 詳しくは通販用のページをご覧いただけたらと思います。

 
どんなことを大切にして、パン作りをしていきたいですか?春からは料理教室などもスタートされるようですが、何名くらい生徒は受講できて、受講料はおいくら?曜日や時間などもよかったら教えてください。
 

店主である私もパンを作るのも食べるのも大好きなのですが、実は「たねまき」は、パンを大量に作って販売することが目的ではないのですね。

「たねまき」を旅立った一つひとつの雑穀ぱん達が、皆さんの食生活を見直すキッカケやヒントになったり、雑穀の美味しさを知る機会にしていただけたらいいなぁと思って作っています。 以前ブログにも書いたのですが、パン(小麦粉)は日本人の私達にはあまり食べ過ぎないようがよいものなので、やっぱりご飯を沢山食べて頂きたいんです。

そんな気持ちから、私達日本人の体に負担が少なくて滋養がいっぱいの雑穀おにぎりを目指して、「雑穀おにりぎパン」と命名しています。 お客様が沢山いらして下さり、嬉しい悲鳴ですが、一人で製造にあたれる分量だけを丁寧に、食べてくださる方がココロもカラダも元気になるように気持ちを込めて、これからも作っていきたいと思っています。

「たねまき」は雑穀をテーマに活動をしていきたいと考えていますので、今後は雑穀と野菜だけのお料理教室や、雑穀パンの教室も開催したいと思っています。 お問い合わせも沢山いただいているのですが、現状、パンの仕込み製造に予想以上に時間が掛かり、開講は今春ではなく今秋頃になってしまうかもしれません。日程などは検討中です。

予定では、1回につき、3〜4時間前後、最大6名様まで、月代わりのメニューで気軽に楽しく取り組んでいただけるアットホームな教室にしたいと思っています。 受講料も4〜5000円位で検討中ですが、原料もこだわっていますので、メニュー内容によりその都度、前後するかもしれません。 お待たせして申し訳ないのですが、HPや店頭でお知らせする予定ですので、時々のぞいてくださればと思います。

 

それは楽しみ!「ナラオ!」でもぜひコラボしてほしいです。パン以外にも、たくさんおいしいそうな商品が陳列されていますね。これらの仕入れもご自分で?どんなこだわりをもって選んでいらっしゃる?その視点は、もしやセレクトショップ時代に培われたもの?

 

10年近くオーガニックの宅配とっているのもあり、実際に長く使っていて気に入っている商品や、また料理教室で使った中で本当に美味しいと思った、オススメのものを集めています。

個人事業の小さな店なので、実は仕入れも難しく、今は14社から仕入れをしています。パン作り以外に自然食品の在庫管理や発注なども、手間のかかる大事な仕事です。
私自身、ひとつの自然食品店で欲しい品が揃わずに困ったということが何度もあったので、手に入りにくいものを取り揃えたいと思っているんです。
各種雑穀の粒や粉、甘酒用の麹、「海の精」の味噌や調味料、干しシメジなどの乾物や、海草も種類が豊富です。 昔、アパレル会社でバイヤーのアシスタントをしていたことがありますが、「本物」を見極める目や、商品の陳列などにもその経験が役立っているかもしれません!

 
お客様は青葉区界隈の方が多いですか?皆さん、どんなふうに知って買いにこられるのでしょう?
 

やはり、近隣の方が多いようです。たまプラーザ、あざみ野、青葉台、など青葉区の方も多いですし、都築区や、町田のほうからもいらっしゃいます。
住宅街にあり、決して駅前のお店のように便利な場所とはいえないのですが、 お料理教室においていただいたチラシやHPをご覧になり、わざわざ東京からいらしてくださる方もいらっしゃいます。
開店から2カ月経ち、このところ急にお客様が増えてきたのですが、パンをお友達にプレゼントされて気に入った、という方が多いようで。 お客様がお知り合いにご紹介してくださっているようで、大変うれしく思っています。

 
クチコミの力って、本当にすごいですよね。私も、このおいしさをきっとたくさんの友達に伝えちゃうと思います。では3年後、5年後、どうなっていたいと思いますか?
 

まだまだ開店して間もないので、まずは今、目の前にあることを一生懸命こなしていきたいと思っています。雑穀の資格もとりたいし、お料理教室もパン教室もしたいし、やりたいことはまだまだ沢山ありますが、 母としても子どもの成長を見守りつつ、その時に出来る仕事をしていきたいと思っています。

パン作りは体力勝負です。今年35歳で、さすがに一人で徹夜をしてパンを作ることはちょっと辛くなってきましたが…… ほどよいペースを掴んで、5年後40歳になっても元気で、いきいき楽しくお店に立って、 皆様に喜ばれるものを創造していたいです!

 
 

5年なんて、あっという間に過ぎそうですね!ありがとうございました。
お話しているうちに実は、知り合いが複数つながっていることが発覚。世の中狭いなぁ、という思いと、やはり同じような趣向をもつ人は、同じような仲間がいることに、 とっても喜びを感じました。私はとりたててパン好きではなく、むしろご飯派なくらいですが、とにかく「たねまき」さんのパンは、パンの領域を超えています!! もっちりしっとりおいしい雑穀パン。食べるだけでなく、何か新たな展開をご一緒できるとうれしいなぁ。
体は資本ですから、しっかり食べて寝てくださいね。 これからもご活躍をお祈りしています。

 

雑穀つぶつぶがテーマの小さな小さなお店。HPからその大切にしている心が伝わってきます。

お楽しみセット<B> 2/17(火)発送分 2,580円(内税) たねまき雑穀パンとおやつ<Bメニュー>9種類を詰め合わせした楽しいお味見セットです 。

おやつパンセット<B> 2/17(火)発送分 2,130円(内税) たねまき雑穀おやつ<Bメニュー>の中から4種類を詰め合わせしました。

お食事ぱんセット<B> 2/17(火)発送分 2,660円(内税) たねまき雑穀ぱん<Bメニュー>の中からシンプルな5種類を詰め合わせしました 。

お食事ぱんセット<A> 2/20(金)発送分 2,600円(内税) たねまき雑穀ぱん<Aメニュー>の中からシンプルな5種類を詰め合わせしました。(写真はイメージです)

きな粉と黒米の粒々がたっぷりで、栄養もしっかり取れます。 国産ヒノキのセイロでもっちりと蒸しあげました。※単品での販売はしておりません

これでもかという程の人参がズッシリと入っています。 自家製のヒエごはんで作った甘酒と、有機人参がやさしい甘さを奏でます。 ちょっぴり、スパイシー。※単品での販売はしておりません

オートミールがぎっしり入って食べ応えがあります。 甘みはレーズンと米飴、りんごジュースだけのノンシュガー。 かみ締めるほどに香ばしいクッキーです。※単品での販売はしておりません

ピカピカに磨き上げられたとてもキレイな厨房。ここで料理教室を開講する予定。

約90種類のおいしくて安心で高品質の自然食品を店内で販売しています。どれもお勧めの品ばかりだそう。何気ない陳列の仕方も、どこかの国のお店屋さんのようで、とってもかわいい。

別冊PHP2009年3月号
P114「わたしの楽しい時間割り」で竹川さんが紹介されています!!

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