映画「ハーモニー 心をつなぐ歌」
もう一度 会いたい――、 私たちが歌にのせた、たったひとつの願い。 誰もが心の傷を抱えながら生きる女子刑務所で、合唱団が結成された。 韓国で300万人が号泣した、実話から生まれた感動の物語。2011年1月22日(土)より全国公開。

映画「ハーモニー 心をつなぐ歌」
18カ月間だけ、刑務所の中で子供と暮らすことが許されているジョンへ。家族に見捨てられた死刑囚ムノク。哀しい事件によって未来を閉ざされた娘ユミ。世代も境遇も違う女性の在監者たちによって、「ハーモニー」合唱団が結成された。歌を通じて生きる希望を見出した彼女たちは猛特訓によって合唱を成功させるが、その時ジョンへには最愛の子供との別れが待っていた…。やがて月日は流れ、評判を呼んだ合唱団はついにソウルでの外部公演へ招待される。そんな彼女たちに、「歌」はささやかな奇跡を呼び起こす。
2011年1月22日(土)より全国公開。



映画「ハーモニー 心をつなぐ歌」1.11@試写会で寄せられたコメント

良い映画でした。かたちの違う母子の、それぞれの心のかよいあいが印象的でした。 歌われる曲が美しく、ハーモニーを味わいました。
キム・ユンジンをみることができたのも、うれしかった。 「シュリ」のときより、顔が丸みをおびていましたが、やはり、いいですね。 新年そうそう、良い映画をみることができました。 ありがとうございました。 (Nさん)


当日私が仕事でうかがえず、ママさん合唱団を長年続けている友人に譲りました。 彼女からとても感動的な映画で、合唱団仲間にも伝えるとメッセージをもらいました。 私も劇場公開されたら、是非見に行きたいと思います。(Kさん)


大好きな韓国映画。しかも心温まる内容で、思わず涙がぽろり・・・ 孤独な女性たちが、合唱団、音楽を通じて心を通わせ、悲哀を乗り越えていく・・・ 最後はまた涙でしたが、ハタマリさんにぴったりのテーマでした。 とても寒い日でしたが、心はぽかぽかしていました。 (Fさん)


泣けて泣けて… 身体中の毒素を出してきました。 ありがとうございます。(Hさん)

本当に素晴らしい映画でした。 鼻をすすり、服の袖で涙ぬぐい、 それもやがて間に合わなくなりました。 (Oさん)


大変感動いたしました。 涙、涙の一方で、おおいに笑わせるユーモアにあふれ、演じられる人々の存在感に圧倒されました。 そして、すばらしい音楽、合唱は理屈ぬきに楽しめました。 映画の場面場面が美しく、力強く、まさに韓国のエネルギーを 感じるものでした。 ( Iさん)



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2011年1月22日(土)より全国公開です。



実在する女子刑務所の教化活動、コーラス隊にみる生きざま

2011年1月22日(土)公開の韓国映画『ハーモニー 心をつなぐ歌』は、舞台が実在するチョンジュ女子刑務所。ここで出産した受刑者は子どもが18ヵ月になるまで育てられる。1989年に設立され20歳から80歳までの約600人を収容する韓国で唯一の女子刑務所だ。合唱団は教化活動のひとつとして実在し、メンバーは週1度、3〜4時間練習し、年1回外で公演を行っている。

カン・テギュ監督は、白いドレスを着て歌うコーラス隊の写真をある人に見せられた時、「ここにいる女性たちはいろんな事情があって、それぞれの人生がある」と強く感じた。物語はフィクションでありながらドキュメンタリータッチな展開。女性たちが背負っている罪を回想するシーンは、その行為が犯罪であることには間違いないが、誰の身にも起こり得る普通の暮らしと表裏一体の事柄のようにも感じる。刑務所という独特の舞台設定でありながら、笑いあり涙ありで人間愛に溢れた世界観で物語を紡ぐ。そして、ホームドラマとは違う視点で「家族再生」を問う。ちょっと切なくて、どこか笑える映画だ。

カン・テギュ監督にこの映画のキーワードを聞いたところ「母性愛」と返答された。
「家族の核となるのは母親。家族との関係がねじれてしまった誰もが修復したいと考えている。その修復方法として、彼女たちはコーラス隊で歌うことを見つけた。刑務所の中で、皆が段々家族のような関係となっていく。そして、彼女たちは歌うことで自分自身が変化していく。以前、ある本の一文で『神はすべてのところに存在できないから、母を創った』という言葉を見つけたことがありました。その一文が心に深く残っていたのです。なぜなら、母は力をもつ存在だから。社会から隔絶された刑務所に居ながらであっても、家族を思い憂い、一筋の希望の光を見つけられるのです」

刑務所という究極の立場にいる女性の生きざまを通して、女性の強さを細やかに描いた秀作だ。

歌うこと、皆でひとつのことを創り上げる経験で成長する

タイトルの「ハーモニー」の意味は、調和。歌い手の一人ひとりが心を開き、気持ちを通い合わせて初めて生まれるものだ。刑務所で過ごす登場人物たちが、合唱を通して自分自身と向き合い、他者や自分を受け入れていく過程は大きな見どころ。なかでも、「心の門を開く」シーンは、合唱シーンと同じくらい心に響く。

コーラス隊に参加するメンバーがする自己紹介によって、自身の罪を吐露するシーンについて監督は、 「刑期を務める人がどのようなモチベーションがあって参加しているか知ってほしい。受刑者の犯罪歴を取材してアイデアを集めたのです。あえて演技ではなく、ドキュメンタリーのような絵は受け入れられるのではないかと考えました。ですから、あの輪になって紹介し合う場面はとても大切で、演じている人が気持ちを超えて伝えあって、泣きだして止まらない人もいて、実際撮影中断したこともありました」
迫真の演技を超えた、人がもつ感情の爆発が見える。

映画に限らず、何かを創る時にはそれを受け取る人が、どんな人なのかをイメージして創る。『ハーモニー 心をつなぐ歌』は、どんな人に観てほしい作品だろうか。

「何かを失くしてしまった人へ。または離婚や死別によって欠けてしまった家族をもつ人へ。30〜40代の男性にも女性の素晴らしさを知ってほしい」と監督は語る。そもそもこの映画の完成試写会で監督と同世代の30代半ばの男性からは「なんてひどい男ばかり描いたんだ!」と非難された。韓国は映画で描いているような男尊女卑の時代はとっくに過ぎ去っているという。

子役の力、演技以上に現場の空気が絵にでた

また、この物語に欠かせない存在は主人公ジョンヘが育てている子ども、ミヌ。ちょうど1歳前後の子150人の中からオーディションで選ばれた。赤ん坊は演技ができないため、「観ている人に好感をもってもらえるかわいらしい子を」という思いをもとに、満場一致で今回のミヌ役は決定。両親は俳優ではなく一般人。カメラが回っている間、スタッフや俳優もコンディションを細かくチェックして、自然に笑わせたり泣かせたりを誘導した。「演技ができない分、現場の雰囲気は常にミヌの表情を中心にまわっていた。ミヌは演技ではなく、すべて自然な仕草なのです」

演技指導はもちろん監督としてのこだわりがでる。
この作品づくりで一番うれしかったことは、「この世界を生きてみれば」という歌を3カ月猛練習の末、コーラス隊が披露したシーン。
「3台のカメラを回して臨みましたが、指揮者役のナ・ムニの瞳に母としての姿を見ました。演技を見ているはずなのに、涙が止まらなかった」
と監督自ら泣いたことを明かす。

撮影にあたっては感動することばかりではない。監督は俳優陣だけでなく、多くのスタッフを統括する立場にいる。
「盗難事件のシーンでは、皆が下着姿になって体当たりの演技になりました。でも、俳優とスタッフの意見が食い違って現場がぎくしゃくとなった。監督の私がそれをコントロールできなかったのが不甲斐ない。人の感情と感情がぶつかり合う洞察力をもって作品づくりにあたらなければ、と改めて思った経験でした」

監督がいうシーンは、確かに冷ややかな空気が流れているのがわかる。しかし、それは演技の賜物のように受け取れる。現場の空気は、撮影している絵にすべて反映される。だからこそ、一つひとつの創りこみ、チームワークが大切なのだと改めて思う。映画『ハーモニー 心をつなぐ歌』を生み出したスタッフの「ハーモニー」は、観る者すべてに感動を与えてくれる。

周りに関心をもちつつ、共感できるものを探していきたい

映画づくりを通してどんなことをしたいかを監督に質問すると、ちょっと考えてからずいぶん長いコメントをくれた。

「死んだり別れたり悲しい状況のなかでも、なんとか立ち直っていくエネルギーを取り込んでゆきたい。この『ハーモニー 心をつなぐ歌』という作品を手掛けて映画づくりの一歩を進めた。共感できるものを探していきたい。自分のカラーを探したいということもあるけれど」
恐らくもっと語ってくださった言葉数は多いと思うけれど、通訳さんのおっしゃっていることをコンパクトにまとめると、上記のような返答になる。

監督自身がかなりイケメンなので、俳優を目指していたり、何かの作品に出演されたことがあるのかを聞くと、笑いながら答えてくれた。

「『TSUNAMI―ツナミ―』という映画で3言だけセリフのあるチョイ役を演じました。それも、ものすごくダメだしされた。でも、今回の作品では監督として演技指導を俳優にしていたので、僕の情けない演技を知っている俳優たちには、『よく言うよ!』と笑われていましたね」

日本人が失ってしまった、何かが韓国にはある。それが何なのかは『ハーモニー 心をつなぐ歌』を観て、それぞれの人が感じてほしい。初めて手掛けた映画を送りだす年に、初めての子が誕生するという監督にとって、2011年はダブルでおめでたい年だ。確かに何かを「もっている」人である。


『ハーモニー 心をつなぐ歌』

1/22(土)より、シネスイッチ銀座、新宿バルト9ほか全国にてロードショー
公式サイト www.harmony-movie.com
公開日:2010年12月17日

コーラスって、自分一人で歌うよりも感動をあじわえる体験なのは、どうしてなのでしょう?私も2008年9月に音楽家・秦万里子指導のコーラス隊に参加してからというもの、毎回毎回のステージに感動で胸うたれています。何度目かの練習で歌う仲間の自己紹介タイムが必ずありますが、この映画でもそんなシーンがあって、それぞれが赤裸々に語るシーンは涙なしでは見られなかったです。たくさんの方にこの素晴らしい作品をご覧いただきたく、今回試写会チケットまでプレゼントしちゃいます。ご応募詳細は、こちらをご覧ください。それにしても監督、とっても素敵な方でした。韓国にはイケメンが多いのでしょうね。お子さんも誕生され、ますますのご活躍を!(マザール あべみちこ)

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